舌小帯が短い「舌小帯短縮症」を解説

      2025/12/20

大府市(愛知県)の歯医者、斎藤歯科医院で舌小帯短縮症についての解説

こんにちは、大府市(愛知県)の歯医者、斎藤歯科医院です。

舌の動きに違和感を覚えたり、お子さんの発音に不安を感じたりしたことはありませんか。
そのような症状の背景には「舌小帯短縮症」が関わっている可能性があります。
この疾患は新生児から成人まで幅広い年齢層に見られ、程度によっては日常生活に大きな支障をきたします。
今回は、舌小帯短縮症の基本的な知識や症状、治療方法を解説します。

 

舌小帯とは

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舌小帯は、舌の裏側中央部分から口の底にかけて伸びる薄い膜状の組織です。
舌を持ち上げると確認できる、舌の裏側に縦に走る薄いひだのような組織が舌小帯です。
胎児期の発育過程で形成され、舌の可動域を保ちながら、舌が口の奥に落ち込むことを防ぐ役割を担っています。

舌を口蓋に押し付けたり、前方に突き出したり、左右に動かしたりといった動作が円滑に行えるのは、舌小帯が正しく機能しているためです。
また、舌小帯には血管や神経が通っており、舌への血流供給や感覚の伝達にも関わっています。

 

舌小帯短縮症とは

舌小帯短縮症は、生まれつき舌小帯が短い、厚い、あるいは付着位置が異常なために、舌の動きが制限される疾患です。
はっきりとした原因はわかっていませんが、胎児期の発育過程で舌小帯が十分に退縮しなかったことが主な要因と考えられています。
また、家族内に同様の症状を持つ方がいる場合もあることから、遺伝的要因も関与していると考えられています。

 

舌小帯短縮症の症状

発音障害

発音障害は、舌小帯短縮症でよく見られる症状の一つです。
舌の可動域が制限されることで、特定の発音に問題が生じます。
特に影響を受けやすいのは、「た行」「な行」「ら行」「さ行」といった、舌先を使って発音する音です。

 

授乳や食事への影響

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赤ちゃんは、舌を乳房に巻き付けるようにして母乳を吸い取りますが、舌小帯短縮症の場合はこの動作がうまくできません。
舌の動きが制限されることで乳頭を口の中で保持できず、浅い吸着になってしまいます。
空気を一緒に飲み込みやすくなるため、お腹の張りや吐き戻しが増えることもあります。

離乳期以降の食事でも、舌の動きが制限されることで、食べ物を口の中で移動させることが難しくなります。
特に固形物の処理に問題が生じやすく、噛んだ食べ物を喉の奥に送り込む動作がスムーズにいかないことがあります。

 

歯並びへの影響

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舌小帯短縮症の場合、舌が低い位置にとどまることが多く、上顎への適度な刺激が不足します。
その結果、上顎の横幅が狭くなる狭窄歯列弓が形成されることがあります。

また、舌を前方に突き出す動きが制限されることで、上下の前歯の位置関係にも影響が生じます。 特に下の前歯が内側に傾いたり、上の前歯が外側に傾いたりすることで、開咬や過蓋咬合といった不正咬合の原因となる場合があります。

 

口呼吸の誘発

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さらに、舌小帯短縮症により鼻呼吸がしにくくなると、口呼吸が習慣化しやすくなります。
口呼吸は口の中の乾燥を招き、唾液による自浄作用を低下させるため、虫歯や歯肉炎のリスクを高めます。
また、口呼吸に伴って舌の位置が低くなることで、上顎の発育不全がさらに促進される場合もあります。

 

栄養不良へのリスク

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舌小帯短縮症は、長期的に見ると栄養状態にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、新生児期の授乳困難は、体重がうまく増えない原因となることがあります。
また、授乳時間が長引くことで赤ちゃんが疲れてしまい、さらに哺乳量が減るという悪循環に陥ることもあります。

離乳期以降も、食事機能の問題によって食べられる食品の種類や量が制限される場合があります。
特に食物繊維の多い野菜や肉類など、よく噛む必要がある食品の摂取が難しくなることが多く、栄養バランスが偏る可能性があります。

 

舌小帯短縮症の治療方法

手術

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手術では、舌小帯の長さを調整して舌の可動域を広げることで、機能面での改善を図ります。
代表的な方法としては、舌小帯切離術があります。この方法では、短くなった舌小帯を部分的または完全に切り離し、舌の動きを妨げている組織を取り除いで機能回復を図ります。
局所麻酔を使用して行える手術のため、多くは外来診療での日帰り手術として実施されます。

より重度のケースでは、切り離すだけでなく、周囲の組織を再配置して縫合する、舌小帯形成術が選択されることもあります。
また近年では、レーザーを用いた舌小帯切離術が選択される場面も増えています。
レーザー手術は出血が少なく、術後の痛みも抑えられているという利点があります。

 

機能訓練

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機能訓練の基本は、舌の可動域を広げるトレーニングです。
舌を上、前、左右に動かす練習を繰り返すことで、制限された舌の動きを活用できるよう訓練していきます。
発音障害に対しては、言語聴覚士の指導のもと、発音に問題のある音を中心とした練習が行われます。

また、食べ物を舌で処理し、飲み込むための訓練も行われます。食べ物の硬さや形状を段階的に変えながら、舌の動きを改善していきます。
併せて、口の周りの筋肉を強化する訓練も行われることがあります。
舌の筋肉だけでなく、口輪筋や頬の筋肉などが協調して動くように改善することで、口腔機能全体の向上を目指します。

 

経過観察

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経過観察は、軽度の舌小帯短縮症や、明らかな機能障害が見られない場合に選択されます。
この場合、定期的な診察により症状の変化や治療の必要性を継続的に評価します。
経過観察が選択される理由として、成長とともに舌小帯が自然に伸長する可能性があることが挙げられます。
特に乳幼児期においては、口腔の成長発育に伴い舌の可動域が改善することがあります。

また、軽度の機能制限では日常生活に支障をきたさない場合もあります。
経過観察の利点は、不必要な侵襲的治療を避けることができることです。
一方で、治療時期を逸することにより、二次的な問題が生じるリスクもあるため、慎重な判断が必要となります。

 

まとめ

舌小帯短縮症は、生まれつき舌小帯が短いことで起こる疾患です。
早期に診断し、手術療法や機能訓練などの治療を受けることで、多くの症状は改善可能です。
疑わしい症状がある場合は、歯科医師や小児科の医師、言語聴覚士などに早めに相談するようにしましょう。

 



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