二重歯列を放置するのは危険?リスクや治療法を解説
2025/10/20
こんにちは、大府市(愛知県)の歯医者、斎藤歯科医院です。
二重歯列は、歯が重なり合って2列に並んでいる状態です。
特に前歯付近に多く、乳歯と永久歯が混在する時期の子どもによく見受けられますが、そのまま残ってしまう場合もあります。
今回は、二重歯列の原因やリスク、治療法について解説します。
二重歯列とは
二重歯列とは、本来の歯の並びから外れて、隣り合う歯が前後にずれたり重なり合ったりして、歯が二重に見える状態をいいます。
きれいに整った歯並びでは、上下の歯がバランスよくかみ合い、かむ力も均等に分散されます。
それに対し二重歯列は、歯やその周囲の組織に過剰な力が加わり、将来的なダメージにつながることがあります。
また、歯が重なっている部分は歯ブラシが届きにくく、汚れが残りやすいことも大きな問題です。
歯垢がたまりやすくなることで、虫歯や歯周病のリスクが高まり、結果的に歯の健康寿命に影響を与える可能性があります。
見た目の問題だけでなく、機能面や清掃性の面からも、二重歯列には注意が必要です。
二重歯列の原因
あごのサイズ不足
あごの大きさと歯のサイズが合わないことが、二重歯列が生じる原因の一つです。
特に日本人のあごは欧米人に比べて小さい傾向があるため、歯が収まりきらずに重なりやすいという特徴があります。
また、現代の食生活もあごの発育に影響を与えています。
やわらかい食べ物をとる機会が多くなると、あごを使う機会が減り、成長期に十分な刺激が加わらないためにあごが発達しにくくなります。
こうした環境が重なることで、歯がきれいに並ぶスペースがつくられず、結果として二重歯列につながるケースがあります。
乳歯残存・早期喪失
乳歯が自然に抜けずに残っていると、後から生えてくる永久歯が本来の位置に生えることができず、乳歯の横や内側、外側といったずれた場所から生えてきてしまうことで、二重歯列の原因になることがあります。
また、乳歯が虫歯やケガによって予定より早く抜けてしまった場合も注意が必要です。
早期に乳歯を失うと、空いたスペースに隣の歯が傾いたり移動したりしてしまい、後から生えてくる永久歯のためのスペースが不足します。
その結果、永久歯が歯列からはみ出して生えてしまい、歯が重なり合って二重歯列を引き起こすリスクが高くなります。
口周りの癖
指しゃぶりなどの癖を長く続けていると、上の前歯が前方に押し出され、歯列全体が乱れてしまうことがあります。
また、舌で前歯を押す癖があると、歯が外側に傾きやすくなり、二重歯列の原因になります。
このような舌の癖に対しては、口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれるトレーニングで改善をめざすことができます。
正しい舌の使い方や口周りの筋肉のバランスを整えるためにも、気になる癖がある場合は、歯科医院で相談してみるとよいでしょう。
遺伝的要因
歯並びには遺伝が関係していることもあります。
例えば家族の中に二重歯列の人がいる場合、あごの大きさや形といった特徴が親から子へと伝わることで、歯が並ぶスペースが足りずに重なってしまうことがあります。
二重歯列をそのままにするリスク
見た目への影響
二重歯列は主に前歯に生じるため、見た目に与える影響が大きくなります。
歯が重なっていることで、口元にコンプレックスを感じるようになり、人前で笑うことに抵抗を覚える方も少なくありません。
特に成長期や思春期の子どもにとっては、見た目の悩みが自己肯定感の低下や、対人関係への不安につながることがあります。
虫歯や歯周病のリスク増加
二重歯列では歯が重なり合っているため、唾液の自浄作用が十分に働きにくくなります。
その結果、食べかすや歯垢がたまりやすく、正常な歯並びに比べて虫歯や歯周病のリスクが高まるというリスクがあります。
咀嚼機能の低下
二重歯列では、上下の歯がかみ合いにくくなることで、食べ物を細かくすることが難しくなり、咀嚼機能が低下します。
この状態が続くと、消化器官に負担がかかり、消化不良や栄養の吸収効率悪化につながることがあります。
発音・滑舌への影響
二重歯列のように前歯がずれている場合、舌先が歯に正しく触れにくくなり、一部の音がうまく出せなくなることがあります。
また、このような状態は、本人が発音しづらさを意識することで話すこと自体に抵抗を感じたり、自信をなくしてしまったりする原因にもなります。
二重歯列の治療方法
矯正治療
二重歯列の治療法として一般的なのは、歯列矯正によって歯を正しい位置に整える方法です。
もっとも多く用いられているのは、ブラケットとワイヤーを歯に装着して、少しずつ歯を動かしていくワイヤー矯正です。
歯やあごの状態に合わせて計画的に歯を動かしていくため、治療には時間がかかることが多いですが、歯の機能性と見た目の両方を整えることができます。
なお、歯の並び方やあごの大きさによっては、スペースをつくるために抜歯が必要になるケースもあります。
抜歯
あごのスペースが足りずに歯が重なって生えている場合は、抜歯をして歯を並べるための空間をつくります。
乳歯が抜けずにそのまま永久歯が生えてきてしまった場合には、乳歯を抜くことで自然に歯列が整うこともあります。
ただし、抜歯を行っただけで歯並びがきれいに整うことは少なく、多くの場合、矯正治療と組み合わせて歯を正しい位置に動かしていきます。
外科的矯正
重度の二重歯列など、通常の矯正治療だけでは十分な改善が見込めない場合には、外科的な処置を併用することがあります。
例えばあごの骨が小さくて歯が並ぶスペースが足りないケースでは、あごの骨を広げる手術を行って歯が並ぶスペースを作ります。
また、あごの位置そのものが左右や前後に大きくずれている場合には、骨の一部を切って位置を調整する手術が必要になることもあります。
こうした外科的矯正は、一般的な矯正治療に比べて治療期間が長くなる傾向がありますが、あごの骨格そのものにアプローチすることで、根本的な改善が見込めます。
まとめ
二重歯列は、見た目だけでなく、口腔内の健康や日常生活の質にも影響を及ぼすことがあります。
リスクを理解し、早めに対処することで、将来の健康リスクを軽減しましょう。
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