口腔扁平苔癬は放置するとどうなる?自分でできるケア方法や治療法を解説
2025/08/20

こんにちは、大府市(愛知県)の歯医者、斎藤歯科医院です。
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)は、放っておくとがん化したり、再発したりする可能性がある疾患です。
口腔扁平苔癬の概要から、原因や症状、診断方法や治療法、セルフケアの方法までを解説します。
さらに、症状が似ているほかの病気についても紹介します。
口腔扁平苔癬とは
口腔扁平苔癬は、口腔内の粘膜に発生する病気です。
粘膜の白変や痛みを伴うことがあり、特に中高年の女性に多く見られます。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、免疫系の異常、そして歯科金属を使用した治療後のアレルギー反応などが関与していると考えられています。
口腔扁平苔癬は、がん化の可能性があるため、早期に診断と治療を受けることが重要です。
口腔扁平苔癬の症状

口腔扁平苔癬の症状は、無症状から重度までさまざまです。
口を開けた際の粘膜の突っ張り感や違和感から始まることが多く、進行すると熱いものや辛いものを食べる際に強い痛みが出たり、歯磨き粉がしみたりします。
ただし、多くの場合において初期段階では自覚症状がないことが多いため、早期発見のためには定期的な歯科検診が重要です。
見た目としては、頬粘膜や歯ぐきなどに現れる、線状・網目状・レース状・環状といった多様な形状の白い斑点が特徴です。
赤いただれや口腔内の灼熱感、口腔内の荒れなどが見られることもあります。
口腔扁平苔癬の原因

口腔扁平苔癬の原因について現時点では解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。
まず、口腔扁平苔癬は家族内で高い発生率を示すことがあるため、遺伝的な要因の可能性があると考えられています。
また、歯科治療で使用される金属が原因の接触アレルギーの可能性も考えられています。
そのほか、自己免疫反応によって体の免疫系が自らの口腔粘膜を攻撃してしまい発症する場合もあります。
さらに、C型肝炎ウイルスとの関連性、内分泌の乱れ、精神的ストレスも発症リスクを高める要因として挙げられています。
口腔扁平苔癬の診断方法
口腔扁平苔癬の診断においては、ほかの類似した疾患との鑑別をするために、さまざまな検査が行われます。
まず、口腔内の病変部から組織を採取し、その病理的特徴を確認します。
また、血液検査を通じて免疫系の異常や関連するウイルス感染の有無も調べます。
アレルギー検査としては、金属パッチテストが行われることが多いです。
口腔扁平苔癬の治療法
口腔扁平苔癬に対しては、対症療法が主に用いられます。
根本的な治療法は確立されていないため、ステロイド軟膏の塗布で炎症を抑えるとともに、病変部を清潔に保つのが一般的です。
また、金属アレルギーが症状を悪化させていると考えられる場合には、原因と考えられる歯科金属を除去し、新しい材料に変更します。
薬剤が誘因となっている可能性がある場合は、その薬の中止または代替薬への変更が検討されます。
口腔扁平苔癬のセルフケア方法
歯磨き
口腔扁平苔癬の予防や症状緩和には、口内の衛生管理が不可欠です。
食事の後に歯を磨くのはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスも活用して、口内を清潔に保ちましょう。
喫煙・飲酒を避ける
喫煙は炎症を悪化させる原因となることがあります。
禁煙するに越したことはありませんが、タバコを止めるのが難しい場合は、代わりにガムをかむなどして口の中の寂しさを軽減し、できるだけ本数を減らしましょう。
飲酒については、アルコールの摂取量を控えめにし、定期的に肝臓を休ませる日を設けることで、体にかかる負担を軽減できます。
食生活の改善
免疫力を高める栄養素を十分に摂取することで、体の抵抗力全体を底上げし、口腔扁平苔癬の発症や再発の防止につなげましょう。
特に、野菜や果物、全粒穀物、ナッツ類などを十分にとり、ビタミンCやビタミンE、亜鉛などのミネラルやビタミン類を意識的に取り入れることが大切です。
口腔扁平苔癬と症状が似ている病気
口腔白板症
口腔白板症は舌や頬粘膜、歯肉に白い病変が見られる疾患です。
口腔白板症は発生頻度が高く、特に舌に生じた場合にはがん化のリスクがあります。
主な原因は、喫煙やアルコールによる慢性的な刺激、合っていない義歯による物理的な刺激、ビタミンAやビタミンBをはじめとするビタミン不足、加齢や体質要因などだと考えられています。
口腔カンジダ症
カンジダ菌は口内のほかの細菌とバランスを保ちながら存在していますが、このバランスが何らかの理由で崩れると、口腔カンジダ症を引き起こします。
具体的には、副腎皮質ステロイド剤や抗がん剤の使用、糖尿病、免疫力の低下、唾液分泌の減少、長期間の抗生物質使用などが、カンジダ症の発症リスクを高める要因となります。
代表的な症状としては、舌や口の中の粘膜などに現れる白い苔上の斑点があります。
口腔がん
口腔がんは、口唇、舌、口底、歯肉などさまざまな部位で発生する悪性の疾患です。
喫煙や飲酒、不衛生な口内環境などが原因として挙げられ、悪性の腫瘍は進行が早いのが特徴です。
腫瘍が進行すると、潰瘍や腫瘍が急速に大きくなり、周囲が硬くなるとともに、ほかの部位へ転移することもあります。
口内炎
口内炎とは、口の中の粘膜に生じる炎症の総称です。
口内炎の中でもよく見られるアフタ性口内炎は、免疫力の低下、栄養不足、極度の疲労、ストレスなどで発症し、痛みや不快感を伴います。
褥瘡性潰瘍
褥瘡性潰瘍(じょくそうせいかいよう)は、舌縁や頬粘膜、歯肉でよく見られる、長期の圧迫や摩擦などの機械的刺激によって生じる潰瘍です。
主な原因には、歯の尖りや合わない入れ歯や詰め物・かぶせ物、矯正器具などがあります。原因となる義歯や歯の調整や交換を行うことで症状の改善を促せます。
天疱瘡・類天疱瘡
天疱瘡(てんぽうそう)と類天疱瘡(るいてんぽうそう)は、水疱やびらんを持つ自己免疫疾患です。
類天疱瘡は高齢者に多く、歯肉や頬粘膜、口唇、口蓋などに発生します。天疱瘡は特定疾患に認定されていますが、類天疱瘡はまだ認定されていない病気です。
まとめ

口腔扁平苔癬は、放置すると口腔がんなど深刻な疾患に進展する恐れがあるため、早期発見と治療が重要です。
異変を感じた際は速やかに医療機関での診察を受け、治療を受けるようにしましょう。
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